2015年03月02日

SU-METALは日本語の普及に貢献しているぞ

SU-METALは日本語の発音がとてつもなく美しい。
これはもう、飽きるほど主張していますけど。
こうした海外勢のカバーをみると「ほらね!」って言いたくなります。


SU-METALの発音は明瞭なんです。
だから真似しやすい。
そして真似してもらえれば、日本人並み、いや、正直いまの日本人の平均的な発音よりも綺麗な日本語になります。

なぜか日本の国語の授業って五十音の発音練習をしないですよね。
文字をいきなり読ませるだけ。
発音は各ご家庭にお任せ。
変な国だよ、本当に。

だから、文科省に提言したいのです。
BABYMETALを聴いて歌うということを、小学校1年の国語授業に組み込んだほうがいい!と。

でもな。

おえらいさんたちのすることはな……。

「BABYMETALというバンドの、いちばん当たり障りのない、子供に聴かせられる曲はどれだ」
「この、”4の歌”というのは歌詞が易しいですね」
「では。それを採用しよう」


なんつってさ。
SU-METAL歌ってませんけど?!
みたいなことになりそう。


さておいてもYOUTUBEを検索すると、おチビちゃんたちがBABYMETALの曲を踊ってみたり歌ってみたりしています。
かわいい。
かわいいよぅ。
ぜひぜひ、このまま、たっくさん歌ってほしいなと思います。

BABYMETALの楽曲には難しいことば、変なことば遊びも溢れています。
けれど、昨今の日本人の滑舌の悪さを憂いている身としては、ぜひぜひ、若い世代にSU-METALの発音を真似してほしい。

人間の人間たるところ。
それはことばを操ること。
気持ちを伝えるために、長い刻をかけて進化させてきた道具。

ことば。

自分たちの国のことばくらい綺麗に話して、コミュニケーションを潤滑にしたいじゃないですか。
歌が上手じゃなくても、会話はできます。
声をかけることはできます。

BABYMETALにハマってはみたものの、メタル音楽は激しすぎて他のバンドを聴くのに抵抗があったとして。
そのジャンルが抱えるテーマみたいなもの。
根っこの部分。
弱者へのシンパシーというか。
鼓舞。

ことばを持つ、ということは出来るんじゃないかなって。
そう思うんですよね。

それが僕らのレジスタンスだったりしてもいい。よね?すぅちゃん。
posted by WANKO-METAL at 22:56| Comment(8) | BABYMETAL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月21日

だって、女の子だもん♪(最も愛してる理由)

世界の片隅からひっそりとSU-METALに捧げたラブレター(おとぎ話)。
創作という手法で、はたして、ここを訪れてくださっている皆様に受け入れてもらえるのだろうか……?
そんな怯えを払拭するほど暖かいお言葉をいただき、ほっとしています。

あの小説は、私なりのSU-METAL賛歌です。

私はSU-METALを最も愛しています。

そう、最も愛してる。

最も愛してる。

最も愛。

最愛。

も。

もあ様。

もあ様ぁあああああああああ!!!

(ああ、ついにブログでも叫んでしまいました)



twitterでは毎日のようにもあもあ叫んでおりますが、私、すっかり菊地最愛さんのファンなのです。

BABYMETALにハマり、結成当初から遡って知ろうと思うのは、当然の流れ。
さくら学院とBABYMETALの両方を、過去から現在へと追っていく。
その中で、どうしても気になってきた、おきまりのフレーズ。

「舞踊の天使 YUIMETAL」
「微笑みの天使 MOAMETAL」

私がBABYMETALを知ったのは、本当につい最近です。
年始ですから。
私にとってMOAMETALは「ものすごくエモーショナルなダンスをおどり、誰よりも高く飛び上がるスーパーガール」という印象でした。だから、なぜYUIMETALだけが「舞踊の天使」と称されるのか、疑問だったわけです。

遡っていくことで、わかりました。
なるほどYUIMETALのダンスは目立つ!!

え、てことは……、
MOAMETALって、ものすごい速度で仲間(ライバル)に追いつき追い抜こうとしてる?
こう気付いた時点でMOAMETALにぞっこんです。

年上のSU-METALは歌もダンスも飛び抜けています。
天才とも言われ、努力する才能も持ち合わせている。

YUMETALはダンスがすごい。
幼い身体にみあわぬキレ。
カウントいっぱいまでねばって拍終わりにバッと合わせてくるから、腕の動きが見えないことすらある。

その二人とユニットを組んで「微笑みの天使」の称号を与えられた最愛ちゃん。

……。

悔しくないわけがないよ。

そりゃあ、褒め言葉ですけどね、微笑みの天使だって。
でも、技術のことじゃない。

認めないわけじゃない。
二人の力は知っている。
でも、悔しかったろうと思う。

最愛ちゃんは、感情の振れ幅が大きいですよね。
嬉しい時、悲しい時の感情のあふれ方は、みなさんがよくご存知の通り。
悔しさという感情も、同じ振れ幅で存在しているはずです。

なのに。
号泣したり爆発的にはしゃいだりするのと同じような激しさで「悔しさ」を撒き散らすことはしない。
ぐずったり、すねたり、妬んだりしない。

そのかわり、結果に現れる。

声がぐいぐい通るようになってきた。
いいね!ジャンプの高さが尋常じゃなくなってきた。
ダンスも、身体と表情のめいっぱいを駆使して、迫力が増している。

その存在感たるや、天使どころか女神です。

タレントとしての負けん気と責任感、観客への気配りと愛。
それがわかって、私は虜になりました。
あの迫力は、彼女が意思の力で積み上げてきたもの。
強い、強い、意志。

努力を惜しまない生き方。
私が何よりも愛するもの。



SU-METALは天才であり、努力もするイチローのような人。
天才が努力したら、誰も勝てない?
そんなことはない!
負けてなるものか。
おいていかれてなるものか。

かけがえのない、運命でむすばれた大切な仲間であり、表現者としてライバルでもある。
真の意味で切磋琢磨している三人を、心から尊敬します。
posted by WANKO-METAL at 01:36| Comment(10) | BABYMETAL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月15日

SU-METALに捧げるおとぎ話

(本文は禁無断転載でお願いしますぅ
SU_FOX.jpg

 風に乗って届く唐梅の香りを辿り、SU-FOXは木立の間を歩いていた。枯葉を踏みしめる音にルリビタキが飛びあがる。SU-FOXはびっくりして身をちぢませた。鳥を驚かせてしまった罪悪感に、心臓がどきどきする。野鳥たちの慌ただしい羽音が飛び交い、頭上ではウソが喧嘩を始めてうるさくなってきた。
 しなやかな筋肉を持ちながらも、まだ幼さを残す細い身体。その愛らしく若いFOXは、ひとつ深呼吸してから、またゆっくりと歩き始める。
 色彩の薄い季節ではあるけれど、冬でも花は香り、鳥は飛んできて歌う。世界はとっても賑やかだ。
 人間にはこの音が聞こえない? 本当に?
 SU-FOXは先生たちから沢山のことを教わった。かつて、自分たちの世界と人間の世界は重なり合っていたこと。境界線が曖昧で、行き来がとても簡単だったこと。

 いつしか世界は離れてしまった。
 同じ風景を見ながらも、違う世界を生きている。

 人間の世界は、感じることを忘れてしまった世界なのだよ。

 そう先生は語った。
 青空はそこにあるのに。土の匂いはここにあるのに。
 生きとし生けるもの、交わす視線に想いはあるのに。

 唐梅の樹が群生するところに出ると、風がSU-FOXのからだを巻くようにしながら吹き抜けていった。
 常にとどまることなく、世界は回っている。もう少しすると森は春を迎え、香りも音も入れ替わる。そうしたら、SU-FOXは今度こそ、走り出すことになるだろう。
 人間の世界へ。


 ***


「ひと昔前は、人間の住む里のいたるところに我々FOXの通る出入り口があったのだよ。稲荷社と呼ばれたそれは、人間が畏怖する大地自然からの力を日常的に感じるための、祈りの場所だったのだ。ことあるごとに大地を恐れ、感謝していたね。人が多く住む街では、犬も歩けばあたるほど社の数があったんだ」
「どうして、出入り口がなくなっちゃったの?」
「戦争で焼かれてしまったんだよ」
「戦争ってなんですか?」
「ひゃん!」
「こら、そこ、静かにしなさい」

 くすくすと若いFOXたちの笑い声がおきる。素っ頓狂な声を出してしまったのはSU-FOXだった。学校の授業中、どうやらウトウトしていたらしい。しっぽを後輩のMOAFOXに引っ張られてしまった。普段はただのやんちゃな子狐なのに、案外しっかりしているのだ。
「SU-FOX、もうすぐ春だ。しっかりしてくれないと、どうも、君を走らせるのが心配になる」
「すみません! 大丈夫です」
 いつもそうだ。褒められると同時に心配もされている。ここのところ、かけっこの授業ではいつもダントツの一位だ。皆と一緒に走っているつもりでも、気づくと夢中で、ひとり先にゴールで佇んでいる。仲間は褒めてくれる。だけど、先生は少し困った顔をして頷くだけだ。自分に何が、まだ足りないのだろう? もう春はそこに来ているのに。
「人間の世界で走ることの意味は、分かっているね?」
「分かっています。風になって届けることです」
 感じさせてあげたい。それがFOXである私たちにしか出来ないことなら。空の青、せせらぎの音、大地の柔らかさ。空気の変化、生命の流れ。この世界で生きるということの不思議と感動。奇跡を。感じてほしい。
「走りたいです」
「……うむ」
「先生、戦争ってなんですか?」
「ああ、そうか答えていなかったな。んん……、ゴホン。今から、恐ろしいことを言うよ? みんな大丈夫かな」
 先生の声色が厳かに変わる。
「こわい」
 いちばん小さなYUIFOXが、親友のMOAFOXにそっと身を寄せた。背後にその気配を感じたSU-FOXは、小さな二匹を守るように、しっぽで抱いてやる。
 先生は目を細め、その様子を見守ってから、口を開いた。
「戦争というのは、……人間同士が殺し合うことだ」
 息をのむ音に続く、小さなざわめき。
「なんのためにですか?」
「まるでわからない。彼らは住む家を焼きあい、持ち物を奪いあう。沢山の人間同士で戦争することもあれば、個人で争うこともある」
 感情を捨てなければ、仲間にむけて刃など振り降ろせない。想像力を捨てなければ、誰かの家族が暮らす街に火を放つことなど出来ない。それが、戦争。
「そんな世界に、君たちは行くんだ」
 そうきかされ、FOXたちは完全に沈黙してしまった。

「……あの」
 そっと周囲を見渡し、みんなの意気消沈を案じたSU-FOXは、おずおずと口を開く。
「わたしたちが、……風になれたら。思い出してもらえたら、戦争を止められますか?」
「SUちゃん」
 先生はじっとSU-FOXを見つめた。
「そう信じて、先生たちも、先輩も頑張っているんだよ。人間が沢山の稲荷社をたててから、それらが焼かれるまでの250年。その間だけは、戦争がなかったんだ、この国にはね」
「せんそうするために、わたしたちFOXとさよならしたの?」
 MOAFOXが可愛らしい鼻にしわよせて、首をかしげる。
「どちらとも言えない。社を焼いてしまった戦争はまだ規模が小さかった。彼らも分かっていなかったんじゃないかな。我々FOXと交流しなくなると、自分たちがどうなるのか。いざ世界が分断されてみると、彼らはどんどん大きな戦いにむかって突き進んでいってしまった。海も越えて」

 悲しいね、と誰かがつぶやいた。
 本当に。そんな世界のままなら、きっとみんなつらくて、悲しい。SU-FOXは切なくなった。

「我々は稲荷社という出入り口を失った。FOXが人間のところに行くには、強い風となり、走り抜けるしかないんだ」
 もう一度、きいておこうか。先生はそう前置きしてSU-FOXに向き直る。
「走ることの意味は、あなたの中に、ありますか?」
 人々が忘れてしまった思いを、熱を、大地の上で弱き者が生きることの難しさを、それゆえに手を取り合う必要があることを。思い出してもらうのだ。幸せな時間を。
 SU-FOXは深く息を吸い、ゆっくり吐き出し、上手にまとまらない決意を飲み込むように、コクリと頷いた。


 ***


「すくすくと育ちましたね、SU-FOXは」
 長老の元に指導者たちは集っている。大きな桜の樹の下。寒さに耐えているようにも、今すぐ花を咲かせたがっているようにも見えるこの誇り高いヤマザクラは、彼らの象徴だった。この桜が満開になるとき、若きFOXたちが走り出す習わしだ。
 類稀な四肢を持つ、素直で優しいSU-FOX。私たちの希望の星。それを重荷に感じなければいいのだけど。そう願い、もどかしいほどゆっくり時間をかけて、大切に見守り育ててきた。
「あの子は、まだまだ優しすぎます。荒れ狂う人間の世界に、本当に行かせるべきかどうか……私は悩む」
 SU-FOXは幼い日に、一度人間の世界を覗いた。覗かせてみたのだ。彼女の素質を見込んで。でも結局は、人間の世界の渦に巻かれる前に回収した。物怖じしない姿は頼もしくもあり、同時に、心配でもあった。人間の世界は広く、業も深い。その怖さを知らずに走ったら、いつか大けがをする。彼らは結果を急ぐまいと決めた。この子は宝だ。そう信じて、ゆっくりと育てることにした。
 感受性を失わないよう。強く、しなやかな心を手に入れるまで。
「だがもう、踏み出さないといけない。このままあの子を我々の里に抱えていても、彼女の身体がフラストレーションを起こすだろう。SU-FOXの中にある熱量を、解放してやらねばならない」
 そのことに異を唱えるものはない。SU-FOXが走る姿を見れば、誰もがそう感じる。誰にも止められない、誰も追いつけない。いつでもエネルギーは全開だ。
 FOXを導く長老は目を閉じた。彼は沈黙を守り、みなの意見へと耳を傾けることに徹している。
「彼女自身は、走りたがっています。しかし……」
 その時、ガサガサッと激しく藪をかき分ける音がして、子狐が飛び出してきた。
「SU-FOX?!」

 半べそのSU-FOXだった。
「ご、ごめんなさい!」
「今の話をきいていたのか?」
「え?」
 再びガサガサと音がして、さらに幼いFOX二匹が、転がるように姿を現した。
「……!」
 SU-FOXは息をのんで後ずさる。
「SUちゃん、こわくないよ、ほら、ほら!」
 頭にカエルを乗せたMOAFOXが、YUIFOXとともにSU-FOXへと駆け寄った。カエルはゲコゲコ喉を鳴らす。
「ふぇ……」
「SUちゃん、ないてるの?」
 YUIFOXにそう指摘されたSU-FOXは、慌てて長老たちを見やり、首をふるふると振った。FOXたるもの、無闇に泣くなと釘を刺されている。
「こら! お前たち。先生たちはいま大事な話を……」
YUIMOAFOX.jpg

「よい。SU-FOX、ここへおいで」
 長老が、口を開いた。
 それだけで場の空気が変わった。

 SU-FOXは一瞬だけ逡巡したが、子狐二匹をちらっと見て意を決した。緊張の面持ちで桜の樹に歩み寄る。代表して怒られようと思った。長老の前に行儀よく座る彼女を、大人たちは黙って見つめている。幼いYUIFOXとMOAFOXは、キョトンとして顔を見合わせた。と、カエルが頭上からぴょんとジャンプし、草むらの中へ逃げだす。そのカエルの挙動に、SU-FOXの身体がぴくりと緊張をみせた。
「カエルが怖いか?」
 SU-FOXは、思わぬ問いに驚いた。
「いいえ」
 ふむ、と笑うように鼻をならし、長老はMOAFOXとYUIFOXに視線を移した。
「君たちは、SU-FOXを追いかけてきたのかな?」
「「はい」」
 二匹の返事が綺麗に揃った。大人たちから感嘆とも、うめき声ともつかない音が漏れる。
「よく、追いついたねぇ」
「ないてるSUちゃんは、おそいも……です」
「いじめてはいけないよ」
 MOAFOXはびっくりし、しょげた。
「いじめてないです……。SUちゃん、だいすきだも……です」
「そうか。君たちはSU-FOXが大好きか」
 小さな二匹は、小首をかしげて顔を見合わせた。
「「はい」」
 なぜそんなことをきかれるのか。
「それなら、泣いていないSU-FOXと、かけっこしてみないか」
「へ?!」
 声を出したのはSU-FOXの方だった。

「SU-FOXと一緒に、人の世界の果てまでかけっこできる子を、探しているのだよ」
 ざわざわと、全員の気配が動いた。誰がSU-FOXと並んで走れるというのだ。長老はまさか、こんな小さな子を? まさか。

 動揺する大人たちをよそに、YUIFOXの耳はぴくぴくと動いていた。その瞳はきらきらと輝き、尻尾はぱたぱたと地面をうつ。
「YUI、SUちゃんとはしりたい!」
 長老だけが、予期していたように頷いた。
「そうか。だけど、本当に走れるかい?」
「SUちゃんとはしる!」
「YUIちゃん」
 SU-FOXは事情が飲み込めず、おろおろするばかりだった。
「YUI、SUちゃんとはしる!」
「MOAもはしる!」
 小さな体で精一杯に気持ちを表すYUIに負けじと、MOAFOXもぐいと背伸びした。もちろん、幼い二匹だって事情など知らない。ただ、素直な衝動だけがそこにあった。
「「もっと、SUちゃんとかけっこ、したい!」」
 二匹とSU-FOXの歳は、ふたつ違い。若いFOXたちにとって二年は大きな差だ。SU-FOXの四肢はまだ細いながらも、すらっと伸びていてバネを感じさせる。対してYUI、MOAの二匹はまだ身体中がふにふにと柔らかい。赤ん坊のようだ。この子たちが人間の世界へ出る? 争いのたえない世界へ? 自分のせいで? SU-FOXは立ちあがり、ぶんぶんと首を横にふる。
「ダメだよ!」 
 叫ぶやいなや、その場から走り去っていってしまった。
「SUちゃん!?」
 条件反射のようにMOAFOXは跳ね、あとを追う。
 SU-FOXを追っていく親友の姿を、YUIFOXはあっけにとられて見ていた。あわわ。そしてキョロキョロ。大人たちを伺う。長老と目があった。彼は微笑んで言った。

「どうした? さぁ、よーいどん、だ」

 YUIFOXは、ぱぁっと顔中に喜びをたたえ、次の瞬間、飛ぶように駆け出していった。


 ***


 どれだけ走ってきたのか。気がつけば、いつもの丘に立っていた。FOXの里から離れた山の中腹。SU-FOXとっておきの場所。自分たちの世界に果てがあるのなら、きっとこういう景色にちがいない。連なりそびえる山々を見上げた。薄く雪をまとった山頂は、帽子をかぶったみたい。
 ひとりになりたいときは、ここまで走ってくることにしていた。ひとりで走りたい。ひとりでやれる。でも、ひとりは寂しい。なんでなんだろう。心って難しい。
 SU-FOXが空を見上げると、そこに満月がいた。
 まだお陽様が西の空に浮かんでいるのに、この時期の月は、東の空から山を越えて早々に現れる。星も月も昼間は見えないけれど、本当はいつでも空にいるんだよ、と教わった。

 見えなくても。

 FOXの仲間だって同じ。人間の世界をひとりで走ったって、仲間はいつでもそばにいる。そう考えれば怖さはない。ないはずだ。だというのに、先ほどYUIFOXが叫んだ言葉を思い出し、喜びに震えてしまう自分がいる。
「一緒に走りたい」
 そう。それが本音だった。YUIFOXのひとことで気づいてしまった。自分は皆が大好きだ。ともに学び、訓練してきたように、このままずっと一緒に走っていられたら。どこかでずぅっとそう考えていたのだ。あんなに小さな子が、その不安をひとことで飲み込んだ。だから驚いた。打ち消すように飛び出してきてしまった。

 あとで先生方に謝りにいかなきゃ。
 SU-FOXは、西陽に照らされた月が紅く染まるのを、ぼんやりと眺めていた。
 強い色……。
 世界には、こんな色もあるんだ。

 もう陽が落ちる。
 いけない。長居をしすぎてしまった。立ち上がろうとしたその時だった。声が聞こえた。
「SUちゃぁあん」
 甘い果実のような声。間違いようがない。MOAFOXがそこに来ている?!
「あっちかな、こっちかな」
 どこかおっとりとしたこの声。YUIFOXまでいるの?
「こっち、SUちゃんの匂い、こっち」
 確信をもった台詞とともに、ふんふん鼻を鳴らしたMOAFOXが木立の隙間から姿を現した。
「ほら、いた! SUちゃん!」
 駆け寄り、幼い身体を倒れ込ませるようにすり寄せてくる。
「おいついたよぉ」

「ほんとだ、SUちゃんいた」
 YUIFOXも登場し、テトテトとSU-FOXに近寄って身体をぶつける。
「ね? だって、あしをとめなければ、おいつくんだよ」
「YUIちゃん、MOAちゃん……」
「ねぇSUちゃん、あたしたち、はしれたでしょ」
「まさかずっと……、ずっと走ってきたの?」
「MOAね、あしがSUちゃんとおなじながさになったら、SUちゃんよりはやくはしれるよ?」
「でもYUIのほうがおおきくなるから、もっとはやくおいつくよ」
 二匹はSU-FOXの背中へとよじ登らんばかりにしがみつき、口々に主張する。

「だからSUちゃん、おもいきり、はしっていいよ」
「おもいっきり、かけっこしよう? ……SUちゃん、ないてるの?」
「っ、泣いてないよ」
 SU-FOXは顔をくしゃっとさせて笑顔をつくった。その濡れた瞳は、空に浮かぶ月と同じように紅色を反射する。
「よし、じゃ、一緒に走ろ!」
「うん!」
「うん!」
 SU-FOXは立ち上がった。体中に歓喜が満ち、四肢がうずく。すぐにも長老のもとに駆けつけたかった。が、嬉しそうに自分を見上げて座り込むMOAFOXの脚が、プルプルと痙攣しているのをみて気がかわった。
 自分の頬をかわるがわる、二つの小さなおでこにすりつける。二匹はきゃっきゃ喜んだ。
「休んでから戻ろうね」
「「いいの?」」
「いいよ。休む時は一緒に休もう」
 ほらこっち。SU-FOXはゆっくりと二匹を誘導した。

 安全な岩場にほら穴がある。自分の秘密の隠れ家。風があたらないし、枯葉を敷き詰めてあるから少しは暖かいだろう。小さな二匹をできるだけ包み込むように丸くなる。
「いつもはSUちゃんがねてるのをMOAがいいこいいこしてあげてるのに、へんなの」
「変じゃないよ、私の方がお姉さんなんだから」
「SUちゃんは、まだまだこどもだよ」
 だから、MOAたちがいっしょにいてあげるね。そう言って盛大に欠伸するMOAFOXが愛おしい。
「YUIまだねむくない。SUちゃん、うた、うたって?」
 自分を慕い、瞳を輝かせてあれこれおねだりしてくれるYUIFOXが愛おしい。

 これが、愛というもの?

 形に見えなくても、確かにここにあるもの。
 紅く染まる空の下で感じた絆。

 自分の心は、この子たちが紡ぐかけがえのない日々に守られている。
 ならば私も守ろう。
 どんな世界が待っていようとも、この小さな仲間を必ず守り抜こう。
 三匹で走っていけたら、それでいい。
 きっと素敵な景色を見せてあげるって、約束する。
 私たちがFOXである意味は、たぶん、そのときに分かるんだよ。

 YUIFOXとMOAFOXへ。
 溢れるほどの想いを浮かべて、SU-FOXは優しい子守歌を捧げた。


 ***


 ほんの少し離れた場所から様子を伺っていた大人たちは、ほう……、と溜息をつき、風に運ばれて届く歌声に耳を傾けた。
 背を丸くして座した長老は静かに宣言する。
「あの子たちといれば、彼女の優しさは強さに変わる」
 我々がしてやれることといえば、SU-FOXを信じて支えることくらいだ。
 そう。
 信じて、我々も力を尽くそう。

 もう一度、世界をひとつにするために。


(C)BABYMETAL (C)DANA DISTORTION PIX
posted by WANKO-METAL at 23:52| Comment(18) | BABYMETAL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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